2012年7月11日水曜日
様々な問いの交差のひとつとして。
ぼくは七月二十八日(金)の原子力発電・議事堂前抗議活動に参加しようと思っているのですが、それについて妻から反対のメールが届きました。
彼女の考え方も分かるし、このように考える方も多いと思うので(とってもプライベートなメールではありますが…)、メールの往復書簡を載せさせていただきます。
正解なんてどこにあるのかさっぱり分からないけれど、でも今の日本のあちこちでこのメールのような「どういうことなんだろう?」「何が正しいんだろう?」「どう考えればいいんだろう?」という問いが交わされているのだと思います。家族で、友人で、会社で、学校で、見知らぬ人同士で。
このメールも、それら様々な問いの交差のひとつの事象だと思って読んでいただけたら嬉しいです。二者間での問いの往復はその問題がもつテーマを内包していると思うので。掲載は妻の承諾済みです。しかし恥ずかしいなあ。
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【妻からのメール】
私はデモには反対です。
もう次の段階にはいらなくちゃいけないと思います。
本当に15%もたりないのか。たりないのだとしたら補う方法はないのか。原発を動かさないでもし大停電になったら関西の人は怒らないでいられるのか。
何かそういうのなしで原発反対とただ叫ぶことに疑問を感じます。
野田がやらなくちゃいけないことはもっともっとたくさんあると思うけど、私が野田なら原発再開すると思います。
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【ぼくの返事メール】
>本当に15%もたりないのか。たりないのだとしたら補う方法はないのか。原発を動かさないでもし大停電になったら関西の人は怒らないでいられるのか。
これについては明確に関西電力が「原発を動かすことと電力需給は関係づけて考えていない」と大阪府市エネルギー会議でも明言しているんだよ(その場面がテレビで放送されました)。
どういうことかというと、今は火力発電をフル活動しているのだけど、それだと燃料費が高くてやっていけないから、原発を動かしたいということです。でも、それをきちんと説明していないで、雰囲気として「原発を動かさないと電力が足りない」というロジックを社会に発信してしまいました。
「原発を動すことと、15%電力が足りないとは関係ない(関係づけて考えていない)」ということを実施するように、なんと大飯原発を再開させた三日後に火力発電を八ヶ所止めています。今までの説明から得る雰囲気だと「このままだと電力が足りない。関西の人が困ってしまう。だから大飯原発を動かさせてくれ」だったよね?(ぼくも君もそんなニュアンスで理解していたと思う)それで仕方ないという雰囲気になったのに、原発が再開した代わりにコストの高い火力を止めるというのはあまりにも企業本位なやり方で、いま部分的に非難を受けています。
>本当に15%もたりないのか。たりないのだとしたら補う方法はないのか。
この問いに対して、実は誰も正しい返答をできないのです。関西電力の不足分の数値の出し方、発電運営のやり方がとうてい信用できるものではないからです。15%という数字の真実性が問えない。今の火力水力の発電力データを出されても信じられない。なぜならデータはすべて関西電力が持っているからです。それはカードゲームをやっているのに、ぼくたちは自分のカードを見ることが出来ず、電力会社だけがカードを選んでいるようなものです。そんなのルール自体が壊れているゲームです。
今の関西電力のやり方が「ギリギリまで原発を動かさないように努力するけど、命優先のためにどうしてもとなったら原発を再開させてくれ」という態度にはとても見えないし(原発稼働のための数日が必要だとしても)、「原発を動かすことと電力需給は関係づけて考えていない」とテレビ上でも明言したことについて、会社としてきちんと説明していません。それは再稼働を決めた政府も同じことが言えます。
>私はデモには反対です。もう次の段階にはいらなくちゃいけないと思います。
君の言うことはとっても分かるし、デモなんかやってる場合かというのも分かるんだけど、残念ながら、ここ数カ月の政府と電力会社のありようは全くと言っていいほど信用できるところがありません。本当に「そんなことやってる場合か」ということが政府と電力会社に沢山あります。そして、震災以後ぼくが学んだことは「政府や電力会社は積極的な嘘は言わない。ただし、言いたくないことはとことん隠し通す。騒ぎが収まったらこっそり出す」ということです。
関西電力の「原発を動かすことと電力需給は関係ない」という大阪府市エネルギー会議での明言もそうだし、大飯原発の下に活断層があることについての地層調査データも「無くした」と言っています。首相官邸前を十五万人が抗議活動で取り囲んだ時に「これをどう思いますか?」と訊ねた記者に、野田総理は「外で大きな音がしますね」と答えたそうです。これは(抗議活動と認識しない)と言っているのに等しい。無視することで物事を進めようとしているんだね。
実は日本のエネルギー政策の大きな変換点が八月末で決まるということを先週知りました。ぼくは全然知らなくて、例によって内閣府のwebサイトでこっそり上げられていたのだけど(パブリックコメントの募集)。
それによると、今後の日本のエネルギー政策において原発依存度を0%、15%(現状の半分)、25%(現状より少し減)の三択で決めるから投票するようにということでした。そんなこと知らなかったよね?ぼくも全然知りませんでした。知らないと何が起こるかというと、組織票が断然強くなるのです。それは選挙でもそうだよね。民主党があれだけ当選したのは、普段動かないサイレント層が投票したからです。サイレント層が動かないと、組織票を持っているところが安心して勝てるというのはどんなことでも一緒なんだね。
デモで原発は止まらないです。それはその通り。だけど、今のあまりにも火事場泥棒みたいな「ちょっと嘘ついてでも、なるべく原発を維持できるようにしよう」という政府と電力会社のやり方に「ふざけるな!」と声を上げること、そして「実はこうなんだよ。おかしくない?」と知らない人に知ってもらうことが、今このタイミングでとても大切なことだとぼくは思います。
原発は止められないけど、今の「おかしいぞ?変だそ?」ということを知ってもらう手段として、十万人以上に膨れ上がった毎週金曜日の抗議活動は無駄なことではないと思っています。ぼくもそれで「ん?おかしんじゃないか?」と思いました。
もちろん、「ぼくは原発に絶対賛成です」という人もいて当然だと思います。でも、今のあまりにもひどい「決められ方」、「全然信用できない人たちが決定権をもつ仕組み」、「電力が足りないということを脅迫的に使う電力会社」に対して、「おかしい!」と声を上げること、そして「実はこうなんだよ。おかしくない?」と知らない人に知ってもらうことが、八月末までに重要で、これから二十年先の日本のエネルギーの選択肢に大きな意味を持っているとぼくは思います。
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